はじめての

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はじめての

金曜の朝、テレビを観ていたら瀬戸内寂聴さんがある番組に出られていました。

癌が見つかったということで手術を受ける決断をするとき、「この歳になっても新しいことに挑戦するってことなのね」というようなことをおっしゃっていました。

私は午後から経験する「はじめて」のことについて考えていたので、この一言がとても心に残ったのでした。

そのはじめて、とは大腸内視鏡検査。「この歳になってはじめて」のことです。

 

私は子どもの頃からとっても怖がりです。

父の実家の御不浄は小学校6年生になってもひとりで行けませんでした。戦前から建っている家はどこもかしこも薄暗くて古くて、毎回祖母についてきてもらったのでした。

数年前に受けた手術の時も大したことはないものの緊急性が高く、手術も怖い、主治医の先生も怖い、で困りました。

でも、手術当日、看護師さんたちが「先ずは手術室の見学でもしますか」なんて言ってくださり、主治医の先生のひょうきんな一面も見ることができた上に、看護師さんが交代で手を握っていてくれた(子どもみたいですが)こともあっていい武勇伝ができたわ、なんて後から思ったのでした。

 

お産も胃カメラもお化け屋敷も夜道を歩くのも怖いのですが、結局のところ流れに任せていると過ぎてしまい、後で思うとそれほどでもなかったのかな、と思うことばかり。

今回の大腸内視鏡検査でも予約を入れてからというもの怖くて怖くて。

しかし検査室に入るなり、「チカだろ?」と顔の三分の一がマスクの看護師さんに声をかけられました。

よく見ると中学校の同級生。卒業以来の再会に喜んだのもつかの間、検査用パンツの説明を受けながら「30年ぶりに会った友達にお尻を出すなんて複雑な気持ちやわ」と言ったところ、あまりにもあっけらかんと「大丈夫じゃけん」と言われ、そうだよなプロだもんなと安心しました。

 

私の怖がりは初めての経験にいつもくっついてきます。

でもそこには必ず誰かや何かが一緒にいて助けてくれるんだなあ。などと考えていると検査が始まりました。

あまりにもスムーズに事が運んだおかげでさっきまでの怖がりはどこへやら。

 

初めて観る自分の大腸に「美人だわ、私」なんて思いながらカメラを進める先生の説明を聞いたのでした。

では、また。